9/24地学(第6回)

1.全球凍結の発生

全球凍結は原生代の初期と後期に起こった。(氷河の厚さ、1400m)

原生代初期はシアノバクテリアによる光合成のし過ぎで温室効果ガス(CO2)が極端に減少したため発生したとされる。

原生代後期は【超大陸ロディニア】の形成により、大陸の風化により陽イオン(Ca2+など)が海中に放出され、CO2を吸収し尽くしたから発生したとされる。

 

2.全球凍結の証拠

①氷河が溶けて海に流れ出る時、近くの陸地を巻き込んでいるため氷が溶けるにつれて石が海底に落下する。【ドロップストーン】という【氷河堆積物】の一つが当時の赤道付近(マンハッタン, 米)で発見されたこと。赤道は最も暖かい場所なので他全ての場所も凍っているはずである。

 

②氷河堆積物のすぐ上に炭酸塩岩が発見される。炭酸塩岩は炭酸イオン(大気のCO2)とカルシウムイオン(大陸の成分)で構成されているので、氷河が溶けてからすぐに風化侵食が始まったとわかる。つまりCO2の海中への吸収が全球凍結中は完全に停止していたとわかる。

また、風化侵食は高温だと活発になるので氷河が溶けた後の地球の気温は-40℃→60℃と急激に上昇した。

 

③13C炭素同位体比が減少した。

13Cは安定同位体であるため放射性改変しない。13C炭素同位体比を(13C/12C)で定める。

通常の場合、光合成にはより軽い12Cが使われ生物内に固定される。すなわち海中には13Cが多く取り残され、徐々に分子が大きく、分母が小さくなるので13C炭素同位体比は上昇する。

全球凍結が発生していた場合、熱く覆われた氷により光合成が停止するので12Cの割合が増加し13C同位体比は減少する。よって光合成が停止していたことがわかる。

 

④縞状鉄鉱層の新たな形成。

海底火山の影響で海中にFeは十分にあったが、光合成ができずO2がないので全球凍結中は新たな鉄鉱層ができなかった。新たに縞状鉄鉱層が形成されたことで全球凍結中に光合成が停止していたことがわかる。

 

3.スノーボールアースからの復帰

①全球凍結していても火山活動は継続し、大気中に地道にCO2を放出する。

②氷河が海面に蓋をするためCO2は吸収されず、大気中のCO2濃度が数百万年かけて上昇

温室効果により全地球規模で急激な温度上昇が発生し、氷河が一気に融解

④海底で生き延びたシアノバクテリアがCO2を思う存分吸収(光合成)→O2増加

 

4.生物の急成長

①氷河融解に伴い海底に沈澱していたプランクトンなどの死骸(栄養)が攪拌され海洋表層に行き届く。

バクテリアによる光合成が急激に促進され、O2濃度が急上昇

③好気的呼吸を行う真核生物が大繁栄し、O2から【コラーゲン】を生成し体を巨大化させることに成功。多細胞生物の出現。

④地球上で初の多細胞生物群【エディアカラ生物群】が登場。

 

5.エディアカラ生物群

エディアカラ生物群】最後の全球凍結終了後、南オーストラリアの砂岩で発見された軟体の無脊椎動物群。

 

これら軟体動物の化石の本体は分解されて消滅するも、砂岩でプレスされ金型のように「跡」だけが残っている。